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シニアエンジニア達の語り場

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AI生成コードの行方

AI生成コードの行方

一般ユーザーが、商用サービスの開発現場における「品質担保」の厳しさを知る機会はまずない。趣味プログラマや教育者、研究職といった、実運用の責任を負わない立場の人々には、AI生成コードをプロダクトに組み込む際のリスクが実感として欠如している。 AI活用の真のメリットは、バグ修正やリファクタリングの効率化にあるだろう。実際の開発工程において、既存のコードが既に大量に存在していて、新規実装よりも欠陥検出と修正に多くの工数が割かれるのは周知の事実だ。 一方、現在AIを真に使いこなせている技術者はまだ少ない。1,000〜7,000行規模のコード生成を繰り返して試行すれば、その特性と限界が見えてくる。そこでは、AIが生成したコードや全体構成を堅牢かつ柔軟に維持ための「アイソレーション設計」が不可欠となり、当然、無設計のままでは望むソフトウェアは完成しない。(バイブコーディングは仕様を作って確認する環境に近い) 結局のところ、仕様や設計情報はYAML等で定義することになる。自然言語による曖昧で再現性のない指示に頼るべきではない。業務レベルの品質を維持するためには、開発者がコードの内部構造を完全に把握し

AI時代の仕事人

AI時代の仕事人

近年、YouTubeなどでは「AIで仕事が楽になる」「AIで簡単に稼げる」といった話題があふれています。確かにAIは強力な道具ですが、現実の社会では別の変化も同時に起きています。Amazonでの人員削減、俳句コンテストの終了、人材採用におけるエントリーシートの廃止などは、その象徴です。これらに共通するのは、「人間がテンプレートを使って仕上げられる仕事」が急速に不要になりつつあるという点です。 AIが得意とするのは、既存のパターンを学習し、一定の正しさで処理を行うことです。定型的な文章作成、分類、要約、コードの雛形生成などは、AIに任せた方が速く、安定します。開発者としては、AIができる部分はAIに任せる判断力が求められます。これは特別なことではなく、ひと言で言えば「正しく仕事を進める」ことに過ぎません。プロにとっては、仕事の道具が一つ増えただけなのです。 一方で、「正しさそのものを定義する仕事」

視点の違いにより、重視するポイントが異なる

視点の違いにより、重視するポイントが異なる

ソフトウェア開発の現場では、立場によって見ている世界が大きく異なります。初心者のうちは「良いコードを書くこと」だけに目が向きがちですが、実際のプロジェクトは多様な視点の集合体で成り立っています。その違いを理解することが、開発者として成長する第一歩です。 プロジェクトマネージャーが最も重視するのは、納期厳守です。どれほど優れた設計や技術であっても、期限に間に合わなければ価値は大きく損なわれます。一方、ソフトウェア技術者は設計内容に強いこだわりを持ちます。拡張性や保守性、美しさを追求する姿勢は重要ですが、それが過度になると進捗を圧迫する要因にもなります。品質保証担当は欠陥の発生率を下げることを使命とし、テストの網羅性や再現性を重視します。また、組織の部門長は予算の枠内で人員を配置し、全体最適を考えなければなりません。 開発初期は要件も比較的安定しており、関係者の緊張感も低く、プロジェクトは平和に進みがちです。しかし後半に入り、〆切が近づくにつれて、仕様変更や不具合が顕在化し、プロジェクトは漂流し始めます。この段階で重要なのが、開発担当者自身の姿勢です。思考が行き詰まったときには、ラバー

好きなことと得意なこと

好きなことと得意なこと

ソフトウェア開発を始めたばかりの頃、多くの人は「新しい技術」や「理想的な設計」に強く惹かれます。自分が美しいと思うコード、将来性のある技術、流行しているフレームワークにこだわることは、学習意欲を高め、開発者としての成長を促します。これが「好きなこと」です。好きなことを持つのは、開発者にとって大切な原動力です。 一方で、現場で本当に力を発揮するのは「得意なこと」です。業界的にも枯れていて、参考情報が多く、自分なりに使い慣れている技術です。実績があり、多くのトラブルが既に解決されている技術は、予測可能性が高く、安定した成果を出しやすいという強みがあります。特に初心者にとっては、基礎的で古く見える技術を丁寧に使いこなすことが、結果として品質の高いソフトウェアにつながります。 ここで重要なのは、顧客の視点です。多くの顧客は、