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シニアエンジニア達の語り場

December 17, 2025

好きなことと得意なこと

好きなことと得意なこと

ソフトウェア開発を始めたばかりの頃、多くの人は「新しい技術」や「理想的な設計」に強く惹かれます。自分が美しいと思うコード、将来性のある技術、流行しているフレームワークにこだわることは、学習意欲を高め、開発者としての成長を促します。これが「好きなこと」です。好きなことを持つのは、開発者にとって大切な原動力です。

一方で、現場で本当に力を発揮するのは「得意なこと」です。業界的にも枯れていて、参考情報が多く、自分なりに使い慣れている技術です。実績があり、多くのトラブルが既に解決されている技術は、予測可能性が高く、安定した成果を出しやすいという強みがあります。特に初心者にとっては、基礎的で古く見える技術を丁寧に使いこなすことが、結果として品質の高いソフトウェアにつながります。

ここで重要なのは、顧客の視点です。多くの顧客は、どの技術を使っているかにはほとんど関心がありません。関心があるのは、「きちんと動くか」「約束した期限を守れるか」「業務が楽になるか」といった点です。技術的な理想を優先しすぎて、納期が遅れたり、不安定なシステムを提供したりすれば、信頼を失ってしまいます。

開発者として必要な取り組みは、好きなことと得意なことを意識的に使い分けることです。顧客に価値を届ける場面では、まず得意で安定した技術を選び、確実に成果を出すことを優先します。その上で、個人開発や小さな改善の中で、少しずつ好きな技術を試し、学びを蓄積していきます。このバランスを取ることで、顧客の信頼を守りながら、自分自身の理想にも近づいていくことができます。初心者のうちは特に、「何を作るか」より「誰のために、どう役立つか」を忘れずに取り組む姿勢が大切です。